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ふれあいセンターいずみ
熊本では二番目に広い面積をもつ泉村。
県の中央部に位置し、その面積の94%が山林という山岳集落の村である。
中央を南北に走る分水嶺により、東に平家落人伝説の秘境五家荘や古代踊りを伝承する久連子古代の里がある。
現在に残された貴重な自然そのものが観光資源である。
村の玄関口の山肌を削ってつくられた台地に、この泉村を紹介する情報センターとしての機能を持つ。
農林業や観光など村の産業育成の発信基地となるよう計画された。
建築概要
この施設には、機能別に二つの特徴的な形態が与えられている。村への来訪者のためのL字型の物産レストラン棟は、柱によって支えられた開放的な足を持つ木造の大屋根の建築である。一方、村の福利厚生施設的性格の会議室棟は、広場と敷地全体を力強く受ける要として、木の塊を削り出したかのような形態の木造建築である。
外壁はともに村の林業を象徴する杉板が張られている。物産レストラン棟は水平なストライプを強調した木製のスクリーンで構成されていて、泉村で最も印象的な人工的景観とも言える石積みの段々畑の上空に、西日を受けて浮かんでいる。それは自然と積極的に向き合うという意志を表明している。
建築データ
名称 | ふれあいセンターいずみ |
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ふりがな | ふれあいせんたーいずみ |
所在地 | 八代市泉町大字岳3296−1 (道の駅秘境の郷いずみHP)https://fureai-izumi.com/<外部リンク> |
主要用途 | 観光案内センター+物産館 |
事業主体 | 泉村(現・八代市) |
設計者 | 武田光史+ロゴス設計同人 |
施工者 | 日動工務店 |
敷地面積 | 8,447m2 |
建築面積 | 1,991m2 |
延面積 | 1,860m2 |
階数 | 地上2階 |
構造 | 木造、一部鉄筋コンクリート造 |
外部仕上 | |
屋根 | サビナシルーフ厚0.6パネル屋根工法 |
外壁 | 杉縁甲板厚12張りオスモカラー塗布 |
施工期間 | 1995年9月~1997年3月 |
総工事費 | 689百万円 |
受賞データ
1997年 | くまもと景観賞奨励賞 |
1998年 | 日本建築学会賞 |
建築家プロフィール
武田 光史(たけだ こうじ) | |
1950年 | 宮崎県県生まれ |
1973年 | 東京工業大学卒業 |
1978年 | 東京工業大学助手 |
1985年 | インドネシア、カリマンタンに農村開発のため滞在 |
1986年 | 武田光史建築デザイン事務所設立 |
1988年 | 東京工業大学非常勤講師 |
主な作品 七尾の住宅、富岡の住宅、小諸の住宅、青、保土ケ谷の住宅、善福寺の住宅、ミュージアムパーク・アルファビア |
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受賞歴 | |
1992年 | 東京建築士会住宅建築賞金賞 |
1998年 | 日本建築学会賞 |
PHOTO:石黒 守、清島靖彦